【News】2010年度第2回 朝日新聞紙面審議会 参院選報道に共感・注文

本日、2010年8月13日の朝日新聞朝刊において「参院選報道に共感・注文」というタイトルで「2010年度第2回 朝日新聞紙面審議会」の内容が取り上げられていた。主要テーマが、違和感を感じていた参院選報道についてだったので興味深く読んでみた。なお、朝日新聞紙面審議会の内容は過去分も含めて、朝日新聞の「asPara(アスパラクラブ)」にて閲覧可能です。要会員登録(無料)。

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まず始めに、第三者の視点から報道内容について考察検証する機会が設けられているのはよいと思う。人選についての妥当性は自分はわかりませんが、加えて読者投稿による意見もとりあげればより中立性が高まると思う。ただ、最終的に編集して記事掲載を行うのは新聞社の人間なので、どうしても偏向してしまうなと感じた。

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参院選期間中の報道で最も違和感を感じたのは「消費税増税」偏重について。個人的には消費税増税に踏み切る前に、歳出の無駄を省き財政をシェイプすること、戦後の国家予算の内訳推移考察と、現状の税制および経済成長下での今後の見通し(状況説明)をきっちり国民に対し行うべきだと思う。これは本来政府に対してだけではなく、マスメディアに対しても期待したいところだが、「管首相が消費税増税を打ち出しました。」「それによって支持率うんぬん。」といった表層しか報道していないように思える。識者に取材を行い、現在の日本の置かれている財政状況と他国との比較、消費税のみでなく所得税や相続税、たばこ税、ギャンブル税、そして企業へ課税のありかたについてなど、抜本的な税制改革のアイディアを提示してもらいたいところだ。(他国の状況については、高負担高福祉と美化されているスウェーデンについても問題を抱えていると報道するなど評価できる。)

少し話が逸れたが、今回の参院選の争点があたかも「消費税増税」だという報道姿勢が一番の違和感を感じたところだ。そもそも二大政党制においてライバル自民党も既に消費税増税を打ち出しており、他の党も頼りなく、国民にはこの問題において既に現実的な選択権がない。また、管首相が同じく打ち出した「(財界が望む)法人税減税」については恣意的に報じられていないように思う。


この点を含め、最も的確で共感できる意見をされていたのが、資生堂名誉会長福原義春委員だ。


福原義春委員 首相が参院選の敗因を消費税発言と認め、さらに朝日新聞による民主党都道府県連幹部への一斉調査でも「消費税が敗因 過半数」(7月20日朝刊1面)となった。だが、本当に敗因はそれだけなのか。消費税発言によって、民主党が抱えていた「政治と金」の問題や普天間移設といった政策テーマが、大きな争点にならなかった。結果的に争点を一極集中させる風潮を、メデイアが加速させたのではないか。

加えて経済対策を含めた明確な政策ビジョンを示せぬまま、日本国外の外国人をも対象とした子ども手当によるバラマキを行い、外国人参政権、夫婦別姓、人権擁護法案などを推し進め、欧米との関係をないがしろにして中韓に擦り寄る。こうしたことが紙面ではほとんど取り上げられない。内閣官房機密費問題が明らかにならぬ中でのマスコミのこうした姿勢は読者に強い不信感を与えていることを自覚して欲しい。多くの国民は政治と報道にバランスのとれた中道を求めています。

福原義春委員 調査結果から自社の論理に都合のいいデータを切り取っているのでは、と読まれかねないのが、7月14日朝刊1面の世論調査記事だ。内閣支持率が37%に下落したことではなく、「首相辞任『不要』73%」を見出しに取っていて、朝日新聞が民主党を擁護しているかのような印象を与えかねない。


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委員の意見・議論、そしてなにより朝日新聞紙面審議会の存在意義をも結びで全否定しているのが、朝日新聞社側の下記コメントだ。

吉田慎一・編集担当 「消費税発言で民主党は負けたが、消費税の議論はするべきだ」「負けたけれど、管首相は辞めるべきではない」。参院選での世論はそんな複雑なメッセージを送っている。 ~ 中略 ~ 民意を引き続きしっかり追いたい。

中学生に分析を依頼したところで「消費税発言で民主党は負けた」という結論は出ないであろう。そもそも福原委員の問にまったく答えようとしていない。増税反対を掲げたみんなの党が参議院で第一党になったのならともかく、同じく消費税増税を訴えた自民党が躍進しているではないか? これは国民が民主党の政権担当能力に疑問符をつけたことに他ならない。結局、朝日新聞は民意を追う気は全く無く、「消費税増税」「民主党支持」というところに向けて活動、世論誘導したいのだという印象を強く受けた。

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